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Kalighat (Nirmal Hriday) / Calcutta.  West Bengal , India





インドと言う国に来て ここまで人の優しさ 人々との出逢いに


触れることが出来るとは 思ってもいなかった




それほどまでに この街は 人々の想いで溢れている






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早朝 夜行列車にてこの街に辿り着いたとき


最初に出迎えてくれたのは 名も知らない カルカッタの住民達だった





駅に着き 朝一番の チャイが飲みたくて 一軒のチャイ屋に立ち寄った


一杯1ルピーのチャイを飲んでいると 隣にいた人々が話しかけてくる





おまえは どこの国から来たのか


何処を旅したのか


インドはどうだ


カルカッタは初めてか


この街に着いた印象はどうだ







しばらく話をしていると 彼等は口々にこう言い出した




" ようこそ カルカッタへ "




そして 彼等が何やらチャイ屋の主人と話をすると


突然 主人は 先ほど払った1ルピーを戻してきた



今飲んでいるチャイは カルカッタの人々からの おごりだという





こんな 何げない暖かさに この街で数多く触れたのだった





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昼間 公園の脇の日陰で過ごす時間




本を読みながら 通りを走り抜ける車や人々の様子を 肌で感じる





外は暑くとも 木陰に居れば 時折流れるそよ風が心地よい



この大都会で そんな静かな時間を過ごすことに 幸せを感じていた





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〜 Sudder Street 〜




安宿の集まる この界隈にいると いつも大勢の人々に囲まれていた





宿では 多くの日本人や韓国人バックパッカー達との会話に夢中になり



通りに出れば この街に集う人々 - タクシードライバー 店の主人 物乞いの母親 何かの売人 -



と チャイ片手に 何げない話で盛り上がる





何故か皆 違和感無く受け入れてくれるのであった






そんな中 ある夜 出逢った一人の母親とのひとときが 今なお印象に残っている




彼女の名前は Sardar



主人の身体に障害があり働きに出ることが出来ないため


毎日幼い子供を連れ 街に出て 生活の糧を人々の心付けから得ているのだという



街角で Sarda がそっと自分の手を掴んだとき 何とも言えない暖かさ - 母のぬくもり - を感じた




それがきっかけで 彼女との会話が始まった





彼女は この街で出逢う旅人達が まるで自分の事を 汚らわしき物のように扱い


無視することを 心から嘆いていた





〜 確かに自分は貧しい  しかし そんな自分が最も求めているものは


 お金や物ではなく こうして人と語り合い 心を交わせることだ 〜






2人でチャイを飲みながら こうして語り合っていると


Sarda はマザーテレサが生前 彼女に贈ったという


主の"みことば "の ある一節について語りだした




" He rightly said that the poor body is living of GOD. "


He, who is among you sacrifice for the poor is best for me.






マザー亡き後も 彼女はその言葉を胸にしまい


そして 彼女と彼女の子供達の為に綴られた マザーからの手紙を大切に持ち歩きながら


日々の生活を営んでいた





彼女も又 マザーに救われた一人だった





そして 主とマザーの愛について語り合った後には



彼女は自分のことを" Brother " と呼び 自分は彼女のことを" Sister " と呼んでいた





本当にあの夜の街には 不思議な時間が流れていたように思える





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このカルカッタに来た 本当の目的は


マザーテレサが生前建てた施設に行き ボランティアをする事だった




しかし この街で残された滞在時間がほとんど無かったため


教会のシスターにお願いして たった一日だけ奉仕をすることとなった





Nirmal Hriday  〜 死を待つ人の家 〜




施設がある地域名から 通称 kalighat と呼ばれている施設を 行き先に選んだ







早朝 マザーの教会に集まり 皆でお祈りを済ませた後 簡単な食事を頂く




その後 数多くのボランティア スタッフ達と一緒に路線バスにて移動し 早速それぞれの活動を行う





人々の服の洗濯  食事の用意  食事を取る"手助け"



洗った洗濯物を屋根の上に干し その他 雑用を行う



一通りの作業が終われば 我々も食事を取り ひとまずそれで午前は解散



続きをしたい人は また午後に各自施設に集まる



続けるかどうかは 全くの自由







ボランティアを行う人々は それぞれ思い思いのペースで思い思いに働く



ボランティアを受ける人々は 遠慮などせず 自分がして欲しいことをどんどんぶつけてくる



それに対し 我々は" 出来ると思うこと " を提供してあげる




実際におこなう行為のなかに やってあげているという優越感や


やってもらっているという後ろめたさはなく


与える側と受ける側の間には "対等 " という関係しかない



そして こんなやりとりの中に お互いの信頼関係が生まれてゆく




ここで繰り広げられる出来事に "ボランティア "というものの本質を見た気がした





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この街で過ごした時間は



非常に有意義で 本当に貴重なものとなった




インドの旅を終えた今でも ふと思うことがある







日本から 遠く離れた大国で



かけがえのない "sister "達や "brother "達が



今日という日々を 一生懸命生き抜いている





そんな 暖かくも したたかな人々の事を想うと



今日もまた 祈らずにはいられない







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