Pashupatinath / Kathmandu. Kathmandu , Nepal
ヒマラヤの山々から 朝日が昇る
神秘的な時間が 辺りを包み込む
雑騒と 排気ガスと 土埃の舞う ネパールの首都においても
朝のひとときは 何とも幻想的な気分に 心を浸らせてくれる

〜 Swayambhunath 〜
カトマンドゥを見下ろす丘の上
市内からも 一際目立つ寺院がそこにある
- Monkey Temple -
そう呼ばれるに十分なほどの猿の群が あたりを埋め尽くす
寺院へ行く途中の まるで 天上へと続くような急な階段を登り切ると
かつてカンティプールと呼ばれた街の全景が 眼下に広がり
このカトマンドゥ盆地に散らばる街や村の姿も一望できる
〜 小さいながらも 首都と呼ぶにふさわしい街並み 〜
我々の住む日本という国においては 大きめの村と言っても過言ではないこの都市が
純粋に "the Capital " と思えてしまう
雨季のため 辺り一面にひろがる雲の隙間から 時折見える山々 − ヒマラヤ − の姿に
懐かしさのようなものを感じた

〜 Durbar Square 〜
カトマンドゥの中心部とも言える王宮広場
その Durbar Square を訪れたのは 小雨の降り続く夕方だった
〜 Maju Deval (シヴァ寺院) Trailokya Mohan (ナラヤン寺院) Kumari Bahal (クマリの家) ... 〜
旧王宮地区ということもあり それらの建物からは 歴史と威厳を感じることができる
再び降り始めた雨に 地元の人々と寺院の軒下で雨宿りをしていると
一軒の Momo(Nepal風蒸し餃子) 専門店が目に留まった
立ち替わり入れ替わり 店には常に多くの人々が訪れ 中には持ち帰りするお母さんの姿も見える
少し離れた所から眺めていたため その注文の仕方すら伺い知る事は出来なかったものの
思い切って店へと向かってみた
入り口からみた店内は 思いのほか狭く かなり窮屈そうだった
何も分からず Momo を一皿注文し 先客たちに招かれるがまま店内へと入っていく
一人だけ何とか座れるスペースに身体を押し込むと すぐさま蒸したてのMomo がテーブルに出された
日本では お目にかかることのない 丸い形の その蒸し餃子
スプーンでおもむろに口に入れると そのおいしさは想像を絶するものだった
一気に平らげ 追加でもう一皿注文する
すぐに出てきた Momo を再び平らげて ようやくホッと一息つくことが出来た
今まで食べた食べ物の中で まさに五本の指に入るおいしさだった
店を出る際 切り盛りするおばあさんにネパール語で "美味しい "と告げると すごく喜んでくれた
このおばあさんの暖かさも おいしさの秘訣なのかもしれない
隣の店でチャイを飲み ちょうどこの時期に行われていた 生き神クマリの祭りを眺めた
地元の人によると 明日は街中でそのクマリの巡行があるらしい
そして 今夜はそのクライマックスを前にした前夜祭のようなものなのだった
生まれ育った京都の祇園祭・宵山の夜を思い浮かべながら 人々の前に姿を現す幼きクマリを見届け
熱気の冷めやらぬ広場を後にした
〜 Thamel area 〜
"夜明けとともに 人々が動き出す "
そんな中を 目的を持たず ただ歩くのが好きだった
適当な店で食事を取り 話しかけてくる人々とたわいもない会話を楽しみ
人々の歩む波の中で ふと立ち止まる
旅人だけに許された シアワセなのかもしれない
〜 Pashupatinath 〜
生と死の境目を見に この寺院を訪れた

人々とともに 通りを行き交う動物たち
彼らのいる少し上流に 生と死の境目が存在する
布に巻かれた亡骸たち
時が経つと 煙と共に自然に帰って行く

そんな様子を眺めていると 今まさに目の前で別れの儀式が始まろうとしていた
泣き崩れる娘達 積み上げられた木々に横たえられ見えたのは
若い母親の姿だった
人々が次々と 顔に色粉を塗ってゆく
徐々に彩られるその顔が 安らかで 神々しくも見えた
祈りが捧げられ 木々に火が灯されると 徐々にその姿が変わってゆく
その光景に悲しさや恐怖は感じず 神聖な場所に 自分がただ居るように思えた
きっと彼女は 彼女の神の元へ向かおうとしているのだろう
そんな様子を眺めつつ マオイストに対する厳戒態勢の敷かれる国際空港へと向かった