kilkenny



centre of Kilkenny city / Kilkenny Co. , Republic of Ireland




気が付くと朝になっていました。


この国に来てから、目覚まし時計をセットしていなくても自然に朝の6時過ぎに目が覚めるようになっていました。


そしてこの日は自炊をせず、宿のレストランで朝食を取りました。

ここ数日パスタばっかりだったので久々に食べたまともな朝食にホっとしました。

紅茶だけは持参したものを飲みましたが....



朝食の後、早速この街を後にしました。


ひとまず目指すはクリスタルガラスで有名な Waterford








Cork のバスターミナルから Waterford 行きの長距離(中距離?)バスに乗り込み海側の席に座りました。


予想に反し、海はほとんど見えませんでしたが車内にかかっていたラジオの音楽がバスの雰囲気に合っていて

その空間の中に一人浸っていました。


途中、道のど真ん中でのバスの運転手さんの交代もありながら2時間ほどで Waterford の街に到着しました。



到着後、 Waterford の駅で荷物を預けクリスタル工場に向かいました。


パンフレットによるとバスに乗って約15分とのこと。

しかし地図を見てみると結構近そうだったので歩いていくことにしました。


ところが...


2、30分くらいで着くと思ったのですが、結局1時間近くかかってしまいました。


到着し受付に行ってみると何やらツアーがあるとのこと。

いろいろ説明を聞き、結局工場見学ツアーなるものに参加する事にしました。


そしてしばらくしてツアーの出発時間になりバスに乗せられ工場の中へ入りました。


クリスタルガラスの製品が出来るまでを順番に見ていく形なのですが、最初はただの ガラスにしか見えないものが

最後の工程では素晴らしく光り輝いた製品となっていくのを見てただただ唖然としました。 


結局ガイドの方の説明はあまりよく分からなかったのですが...


ツアーの後、販売用の商品などを見たりして過ごしていた時、ふと時計を見ると...



目の前の時計はその日乗る予定だった列車の出発時刻を指していました。


.....


思ったより長く居てしまったようです。

それほどクリスタルガラスの輝きが美しかったということでしょうか。



すぐさま列車とバスの時刻表を見たところあと1時間半後にちょうどこの日泊まる Kilkenny 方面行きのバスが

あることが分かりました。



そして工場を出て再び歩き出しました。


1時間かかると判りながら歩きました。


何か行きで歩いた道のりをバスに乗って帰ると負けたような気がしたので...




今度はのんびりいろいろな店にも寄りながら帰りました。


もちろん時計を気にしながら。



再び Waterford の駅に戻り荷物を受け取ると、ちょうど乗る予定のバスがやって来ました。


今度はグッドタイミング !!








バスに乗りバスが出発するのを待っているとすぐ隣に目と言葉の不自由な女性の方が座りました。


周りの人達は僕が外国人であることを一目で分かっていたようで、彼女が僕の横に座った時周りの人達がそわそわし出しました。


そんなことも気にもせず、彼女はゆっくりと僕に語りだしまりました。



彼女は今から Dublin の学校へ行くということ。

いつもは学校の人がバス停まで迎えに来てくれるのに今日は誰も来れないということ。

Dublin に着いてから学校までの道をよく知らないので行けるかどうか心配であるということ。

でもバスは街の中心部まで行ってくれるので便利であるということ...




本当に何げない会話だったのですが、この旅で最も思い出に残った会話となりました。



そしてあっという間にバスの中での時間が過ぎ本日の最終目的地 Kilkenny に到着しました。




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この街に来た理由はちょうどこの時期に "Kilkenny Arts Week Festival" が開催されているとガイドブックに載っていたからです。


さすがに前日のこともあり今回は前もって宿の予約を入れておいたのですんなりと寝床にありつくことが出来ました。



荷物を宿に置き、夕食の材料を買いに近くのスーパーへ向かいました。

こうやって旅先のスーパーで買い物をしている時の、まるで自分が旅人では無いような何とも言えない感覚が好きでたまりません。



買い物を終え宿に戻る前に、"Arts Week Festival" の情報を入手するために、フェスティバルの事務局に足を運びました。


この日の夜の公演に関して聞いてみるとKilkenny城 にて"Much Ado about Nothing"という演劇があるとのこと。

まだチケットが少しだけ余っているということで、チケットを1枚買いこのフェスティバルのスケジュールをもらいました。


そのスケジュールには期間中行われる全ての公演内容と会場が載っていました。


順番に眺めていると面白いものを発見しました。



" 日本人による Shall we dance ? "



これには正直驚きました。


なぜこんな所で、しかもShall we dance ????



見てみたかったのですが、日にちが合わず残念しました。




そして時が経つのは早く、夜になり公演の時間となりました。


会場に着くと日本では考えられないスケールのステージが用意されていました。



まるでお城全体がステージのようだ...



席は特に決まっていなかったため、空いていた一番前の席に座り始まりを待ちました。

開演時間が近づくにつれ、ぞくぞくと人が集まりだしました。


そして公演予定時刻が過ぎ、警官に扮した前説の方が客席の前で大声で語りだしました。



「皆さん、ご来場まことにありがとうございます...

今日はよく見れば日本人のお客様も来られてますね。

彼に楽しんでいただけるかどうか分かりませんが、皆さん存分にお楽しみ下さい。」



日本人のお客様 ???


その時自分の置かれている状況がやっと分かりました。


彼が前説を終えたあと、後ろの客先を見渡すと確かに日本人は自分しか居ませんでした。

しかも最前列に座っているものだから非常に目立ってしまったようですね。


ともかく公演は始まり、そのスケールの大きさに度肝を抜かれました。



ステージの後ろのお城の窓から出入りする人々。

ステージの上で本当にたばこを吸い、本当に紅茶を飲む人々。

遠くからサイレンの音がすると思えば、そのままステージの側までやってくる年代物のパトカー

突然高い場所からバグパイプの音がすると思えばお城の屋上から現れる演奏者。




このお城どころか街全体がステージと化しているように思えました。


そして久々にお芝居の楽しさを味わいました。

他のお客さんたちと一緒に笑いました。


そして大盛況のうち公演が幕を閉じた後、最初に出てきた前説の彼がステージの前までやって来てこう言いました。



「日本人のお客様も楽しんでくれたようです。」



会場は大爆笑になりました。



そして、いろいろあり少し照れながら宿に戻ると1人の女性に声をかけられました。



「あなたね。 さっき紹介されていた日本人って。」


この日この街には他に日本人が居なかったのかもしれませんね...





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次の日の朝静まり返った街の中を歩き、そして気に入った教会で時を過ごした後、


今回の旅のスタート地点、そして最終地点でもある Dublin に向かいました。




数日ぶりに列車に揺られ、まるで故郷に帰るような感覚で戻ったこの街の空は


いつものようにどんより曇っていました。





                                           to be continued...




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