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Rue Salah Eddine el-Ayoubi / Tanger . Maroc , Al-Maghreb




Maroc への旅の最後に 訪れた街があった





"悪名高きモロッコの玄関口 "


"出来れば立ち寄りたくないと 皆が口走る港町 "





この街を訪れることによって


大好きなMaroc の国や人々が 嫌いになるかもしれない


今までの思い出が 全てかき消されるかもしれない






でも そんなことはどうでもよかった



ただ どうしても その街の姿を目に留めておきたかった











この街にたどり着いたとき 今まで訪れた街や村が


遙か遠い国の世界のように思えた



それほどに 街の風景のなかには


近代文明を思わせる ビルという名の並木が立ち並んでいた






" Tanger  〜 Tangier 〜"





ひとまず街を抜け 目星をつけておいた安宿へと向かう



思ったより分かりやすい場所にあった その宿は


たどり着いた時間が早かったこともあり まだお客はほとんどいなかった


宿の主人と軽く会話を済ませ 荷物を置いて街へと再び向かった






〜 Medina 〜





地図も持たず 当てもなく ただ旧市街(メディナ)を目指した



今までの訪問地と違い とても湿った感じのする光景が 辺りに広がっていた




今はまだ見ぬ国 インド




心の中で そのアジアの国に遠く思いを馳せていた




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メディナの中は 本当に迷路のようだった



その迷路を彷徨っていると いろんな人に出逢う




〜 通りすがりに声を掛けてくる人 〜




それは自称ガイド風の男や少年だったり


お金をねだる 小さな子供だったり


その先が行き止まりであることを知らせる お母さんだったり





この国に来る前だったら 出来るだけ避けていたかもしれないが


自然と話をし 自然とサヨナラの挨拶をして別れていた






歩いていると 何軒もの喫茶店が目に留まる


歩き疲れ 小さな広場の角にある 一軒の喫茶店で休むことにした




一番道路側に並ぶ テーブルの一つに腰をかけ


本を片手に いつものようにモロッコのミントティーを味わっていると


やはり人々に声を掛けられる



何かをほしがる人だったり ただ話しかけた人だったり




でも その場所での空間が 何とも心地よく感じた


人々と共にいるという感覚に 酔いしれていたのかもしれない







喫茶店を出て さらに歩くと 港の見える展望台に出た



その場所は 地元の人たちの憩いの場なのかもしれない


観光客の姿は 全くと言っていいほど見ることが出来ない



そこでは何もせず ただ港を眺めていた




すると隣に座っていた少年達が話しかけてくる



最初は片言の英語 そしてフランス語


最後にアラビア語




この旅の中で覚えたアラビア語の単語を話すと 彼等は瞳を輝かせ喜んだ




"他は何を知っているの 他は... "


"じゃあ このコトバ知ってる? えーっと... "





この子供達の口から 言葉が止まることはなかった



その姿を 周りの大人達は不思議そうに眺めている





"何処から来たの? "



日本から



"それはあり得ない。  で、本当は何処から来たの?"



...




言われてしまった...





とりとめのない会話を 子供達としたあと 港に向かうことにした




別れ際 子供達とモロッコ流の挨拶を交わした


お互いが自分の手を胸に当てたとき とても暖かい何かを感じた



いままでの挨拶の中で 最も嬉しかったトキかもしれない




まさに 心が通った瞬間だった





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港には ヨーロッパからこの国にたどり着いた 大勢の人々が



ある人は急ぎ足で街の方へと向かい


ある人は訳も分からず 呆然として港から動こうとしない


ある人は さらに多くいる地元の人たちに捕まっている


それは案の定 自称ガイドだったり...





では 自分はと言うと



それらの姿を 港にたむろする 子供達と共に眺めていた




ここにいた 子供達は 子供達のままでいた



悪いことをして 大人達に怒られながらも


元気に港を走り回り


船着き場に泳ぐ魚を見つけては 仲間を集め


魚とりに夢中になる



港の全てが遊び場所?


ガキ大将に子分達が やはり楽しそうに防波堤で遊んでいた




昔懐かしき姿



こんな遠いアフリカの地で 昔の自分達を思わずにはいられなかった




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次に港から 砂浜へと向かった




ここはサッカーの国



広々としたこの浜辺で 人々はサッカーに興じていた



その数が凄かった



そして知らない人も混ざっているのだろう


明らかに観光客と思われるおじさんも 若い少年達に混じってボールを追っていた





彼等を眺めていると いつの間にか辺りは暗くなってきた




この日の散策はこれでおしまい


続きはまた明日




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次の日も 結局同じ場所を巡っていた



街中を歩き ふらっと立ち寄った店で 道行く人を眺めながら朝食を取り


メディナの中をあてもなく行き来して 次なる発見を探す


浜辺に行き 裸足になって砂の感触と久々の海水の感触を楽しみ


港に行き 人々の動きを眺める





"このままモロッコで時を過ごしていたい... "




残された日にちを数えると この日のうちに次の目的地 英国領Gibraltarへと向かわなければ厳しくなる



次の船は2時間後 直接Gibraltarへ行く便は夜中にしか無い



結局そのAlgeciras 行きの船で スペインへ戻ることにした




残された時間は2時間



もう一度メディナの外れの展望台を訪れ 宿に置いてある荷物を取り


急いで港に戻り 出国手続きを済ませ船へと乗り込んだ




"ここは もうモロッコではない... "




船のデッキの上から モロッコの大地を見渡したとき  ふと思い出した





"この悪名高き街で 何も嫌な思いをしていない "


"それどころか かなり楽しんでいたのではないだろうか? "






もう モロッコが頭から離れなくなっていた



すなわち 相当この国が 気に入ってしまったようだ





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"アフリカからヨーロッパへ 船での旅で ... "




この国を旅したという一人の女性に かつてオキナワで出会い


そこでこの国のことを 初めて心に浮かべた




あれから数年が経ち 今まさにその国を旅し 船でこの国を離れようとしている




あの頃はMaroc の旅など 想像もしていなかった



なのに 今...




時の流れの不思議と 出逢いが織り成す不思議が


ココロの中に 心地よい刺激を与えていた





さようならモロッコ また出逢える日まで...




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