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Bab al-Husn / Thula . San'a . Republic of Yemen , Arab




Al Qabai からの帰りの車中も賑やかだった



ドライバーのマヘド 護衛のヤヘヤとアリ


そして宿のオーナー ホセがSan'a の手前の街まで同行することとなったのだ





AM 8:00 過ぎ  朝食を取り 村を出発した



通り道 相変わらず人々が入れ替わり立ち替わり この車の乗客となっては去って行く



勢いよく乗り込んできた老人は 席に座ると車を降りるまで演説を続け


かろうじて轍の残る砂の道で立ち往生する車の乗客が 次々と乗ってくる


あまりの多さに 隣でマヘドが 後ろからやって来る車に乗れと叫ぶ



途中所々に通る街のマーケットで アリがガートを買ってきては


マヘド以外皆でガートパーティーを始める


マヘドは頑として ガートを噛もうとはしなかった




ガートは覚醒作用のある葉っぱ



それを噛む時 その噛みカスは外に捨てずにほっぺに溜めていく


だから ガートを噛み続けると その量が増えるほどにほっぺがどんどん膨らむ



ガートパーティーを何度か繰り返すうちに ほっぺはソフトボール位の大きさに膨らんでいた




その姿を 立ち止まる街で 人々に見せびらかす




" 日本人がガートでほっぺを膨らませているぞ "




瞬く間に車の周りに人盛りが出来 人々の間が 大きな笑いで包まれている


こんな街の民を見ているのが幸せだった





そんな賑やかで 楽しい時間も いつしか終わりを告げようとしていた



まず'Amran の街でヤヘヤとアリに別れを告げ


San'a の手前の名も知らぬ街でホセと別れた


そして 我がドライバー マヘドとも このままSan'a に戻れば別れることになるはずだった





しかし 結局彼とはその後 イエメンで残された数日間のほとんどを共に過ごすことになった




思わぬ手違いと勘違いの結果だった



彼の思っていた予定と こちらの思っていた予定が違っていて話し合いの結果 そうなった




当初はSan'a に戻ってからは 一人で旅を続ける予定だった


しかし 今は戦争を控え 情勢が読めない現状



はっきり言って 心強かった




San'a の街で彼と昼食を取った後 彼とはしばし別れ


翌朝 再び彼と合流するとSan'a 郊外の村Thula へと向かった





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〜 Thula 〜



背後を聖なる岩山に見守られた 山岳部族の村



San'a から約1時間 乾燥した大地の先にその場所は現れた




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坂道を上り 入り口のゲートをくぐると 遠くからは小さく見えた村の


その大きさと 雰囲気という名の馨りが こちらまで立ち込めてくる




周りからは 石造りの家々と通りを行き交う多くの人々のにぎやかな姿が目に飛び込んできた




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村の広場にて車を降り 早速街の中を歩きまわった



大通りを離れると 街の細い路地は 迷路のようにどこまでも広がっていた




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宛てもなく その路地を行き来する



何処に何があるか 全く分からない



右へ左へと歩き続けていると ふと 目の前に村の背後にそびえ立つ あの岩山の麓に辿り着いた




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聞くと岩山へは 我々も登ることが出来るという



門番に料金を払い 壁のようにそびえ立つ山の階段を ゆっくりゆっくりと登っていった


上へ昇るに従い 麓の村の姿はどんどん小さくなってゆく




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登り切ったその岩山の上には 遺跡のような建物が幾つも見られた



それら一つ一つに立ち寄り 中から外を眺める




丘の上の広場では 遠足でこの場所へやってきたと思われる子供達のはしゃぐ姿が見え


遠くに視線を移すと 果てしなく続く乾いた世界が視界に入ってくる





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〜 聖なる丘から見える景色 〜




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何処までも続くその大地を 息を飲んで見つめた



時折吹き抜ける強い風と 照りつける太陽のまぶしさに


時を忘れ 静かに佇んでいた




心の中では 世界の広さを ただ想いつづけた






遠くイラクへの攻撃が始まった朝


そんな岩山に守られた村へと 足を運んだのだった






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