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Okinawa Island  〜 Okinawa 〜  / Okinawa , Japan





沖縄本島を最初に訪れたのは


この日本でかつて起きた 過去の出来事を


そのメッセージが消える前に 心に留めておきたかったからだった




〜 World War II 〜




ひめゆりの塔 、平和祈念公園 、海軍司令部壕 、摩文仁の丘 、南風原陸軍病院跡 ...




南部戦跡と呼ばれているそれらの場所に立ったとき


鹿児島の知覧に残される 凄まじい記録の数々を見たときと同じ思いが蘇ってきた




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あれから数年か経ち


このオキナワの島には 幾度となく訪れた



だが どういう訳か 那覇の街は いつも素通りしてしまう



那覇から北へ東へ...



進む先には 八重山や宮古などの 離島とは


また違う魅力のある まだ見ぬ世界が広がっている




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〜 知念 〜



あれは 久高島を訪れた後のことだった




島を離れ 船で沖縄本島に戻ったあと しばらく知念の高台を彷徨った



"垣花樋川(カキノハナヒージャー)、斎場御嶽(セイファ ウタキ) "



垣花樋川の湧水からは正面に広大な海を眺めることができ


御嶽からは遠く久高を拝むことが出来る



はたして どのくらいの時間をこの場所で過ごしたのか


この風景の中では その空間だけ違う時間が流れていたように感じる





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その帰り道 丘の上にある一軒の喫茶店が ふと目に留まった



〜 海のイスキア 〜



入り口の側にそっと刻まれた そのコトバを発見したとき

通り過ぎたにも関わらず すぐさま後戻りしていた




"森のイスキアと海のイスキア "



かつて 青森の岩木山の麓にある " 森のイスキア" と呼ばれる建物に

いまと同じ 春の季節に訪れたことがあった


まだ雪の残るその場所には その寒さすら忘れてしまうほどの

暖かい団らんと 素朴な喜びがあった



そして 全く環境の異なるこの場所に 森のイスキアの主宰の名前が刻まれている



それは不思議としか言いようのない光景だった





オープンテラスになっている その喫茶店に入ると


とても人の良さそうな 若い男性が一人で店を切り盛りしていた




コーヒーを一杯お願いし テラスから海を眺める


ちょうど目線の向こうに 真っ青な海に浮かぶ久高の島影が飛び込んできた



もうそれだけで 十分満足




ちなみに客は自分一人だけだった


ふと店の中を見渡すと 所々作りかけの箇所が見られる



きっとこの店は ほとんど手作りなのだろう


そのぬくもりと 目の前の自然が 心のこもったコーヒーをより格別なものにしていた




先ほどの男性は 本当に気さくな方で いろいろと話を聞くことが出来た



この沖縄の島のこと 久高のこと そしてこの店のこと...



やはり森のイスキアの主宰も沖縄に来ると必ずこちらに寄られるとのことだった


そしてこの場所も人々の心を癒してくれる場所だからと言って


入り口の側に 自分の名前と共に"海のイスキア" と刻まれたのだった




本当に海からの 自然のやさしい風が心地良い

 


旅人がこの喫茶店に立ち寄ったとき 必ずと言っていいほど予定が狂うという


それほどまでに この喫茶店の居心地が良いからだろう





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〜 本部 〜




オキナワにはフクギと呼ばれる木がある


これはオキナワの強い風を避けるため、家の周りに植えられていることが多い


このフクギの下は 強い日差しが遮られた


緑の香りのする 心地よい空間



オキナワに来て その場所に入ることを ささやかな幸せにしていた





"備瀬のフクギ "



本部にある このフクギの群落地を訪れたとき


いつものようにその下に入ると まるで森の中に居るような感覚と

どこか別の世界に 足を踏み入れたような錯覚を感じていた




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森の中にいて 人々の営みも 垣間見ることができる


そこには 木々に守られた オアシスのような暮らしがあった





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逆にフクギの木々から離れると すぐ海に出ることができる



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目の前には 伊江島が眺め



さらに少し離れると


春を忘れさせる 暖かな日差しが体の奥まで染み込んでくる




これも また オキナワの風景だろう





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〜 名護 〜



名護の郊外に 心温まる 一風変わった一軒の宿がある



ご主人は車椅子生活のお父さん


何故か宿には アフリカやオーストラリアなどいろんな国々の楽器が並んでいて


ご主人やら宿の人やらに いろいろ教えてもらえる


初めて三線に触れたのもこの場所だった



お客さんは不思議な経歴を持つ人ばかり?


旅の話をすると いろんな国の名前や出来事が飛び交う


ここで旅に関する影響を いろいろ受けたのは言うまでもない



昼間は浜辺でぼーっと過ごし 夜は泡盛片手にお喋り


何日も ここで過ごす人も多いようだ




でも ここで幸せな時間を過ごしていても


いつも気がかりなことが 一つある




昼間過ごす浜辺から 見える海の中には


ここからは見えなくても 今では数少ないジュゴンが


おいしそうに ムシャムシャと海草を食べている


その姿を思い描きながら こちらも浜辺でお昼ご飯をムシャムシャ食べるのが


ちょっとした楽しみであった




でも もうすぐ その海草の生える地帯一面に


鉄の冷たい杭が打ち込まれようとしている



草場に杭が打ち込まれると 彼等はもうそこで生活することは出来ない


そのことは 沖縄の海からジュゴンの姿が消滅することを意味する




まだ かろうじて守られる ジュゴンの海




今まさに 地元の人々や 日本中の人々や 世界中の人々の思いで


何とかこの海は守られている


この宿のご主人もそのうちの一人だった



もうすぐ あの海の上に基地が出来てしまうのだろうか...




"米軍基地の問題は日本全体の防衛に対する問題 それは沖縄だけのものじゃない "




いつもそう語る 宿のご主人の言葉によって 心のなかに ものすごく熱いものを感じた





瀬嵩の浜から見える風景



ここに来ると この静かな海と


遙か向こうに見える キャンプ シュワーブの情景が 何とも 心を 切なくさせる




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訪れるたびに 新たな出逢いがある


そんな気持ちを抱きながら いつかまたこのオキナワの地を踏むのだろう






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