ただひたすらに 車を走らせようと思っていた
果たしてどのくらいかかるか分からない
Málaga を越え
Costa del Sol の海岸線を行けるところまで進もうと思っていた
とにかく 戻るしかない
〜
Bubión Pampaneira Carataunas ... 〜
徐々に車が増えてくる
〜
Bayacas Órjiva 〜
渋滞でぴくりとも車が動かなくなった 街を抜けるのに 結局1時間半かかってしまった
〜
Lanjarón Tablate 〜
やっと Las Alpujarras を抜け出した
〜
Vélez de Benaudalla Salobreña 〜
Costa del Sol の海岸が目の前に広がる
〜
Almuñecar Nerja Torrox ... 〜
強烈に照らす 夕日がまぶしい
〜
Jarazmin Cala del Moral 〜
Málaga まで約15km 順調に進んでいるようだ
しかし 突然前方にはハザードが点滅する車であふれ
いつの間にか どうしようもない位の渋滞に巻き込まれていた
ほとんど前に進まない
あれほどまぶしかった夕日も いつしか視界の中から完全に消えていた
このまま行けば 果たしてMálaga にすら いつたどり着くか分からない
そう思える光景だった
そして 少し焦っていたのかもしれない
思わず高速の出口へと向かっていた
高速を下り 車が進んでいった方向は 思っていたのとは全く逆の方向だった
その方向しか道は無かった
何処かで高速に戻るしかない
そう考えていると 再びこの道で渋滞に巻き込まれた
しかし今度は少し様子が違う
側道には どこまでも車がぎっしりと埋まり
歩道には 笑顔の人々があふれ
遠くからは 音楽が聞こえてくる
ようやくその音の源までたどり着くと
人々に担がれた 聖母像が目の前を通り過ぎていった
〜
Fiesta de Ntra. Sra. de la Victoria 〜
スペインで見る 初めての祭りであった
ガイドブックにも載っていない街
そんなところで 祭りに出逢うとは夢にも思っていなかった
正直驚き そして少し眺めていこうとも思った
だがあまりの車の混雑に その場で車を止める事さえ出来ない
ただ前に進むのみ
これだけの人のため 泊まるところも空いてなさそうだ
車がスムーズに流れ出した頃には 祭りの様子も遠い彼方の世界となっていた
再び渋滞の高速に戻った
しかし 心の中ではあの祭りの事が気になって仕方なかった
〜 このまま
Maroc へ行くとなると 心残りのような気がする 〜
そう思った瞬間 再び高速の出口へと向かっていた
〜 ホテルが見つかればこの街に滞在しよう 無ければ諦めて
Málaga へ向かおう 〜
先ほどとは違う道を通り
Rincón de la Victoria の街の中を縫うように走った
裏道を走ったためか うまく渋滞を避けながら走っていた
そしてこの街のMain street である
Moral street に道が合流するとすぐ
海沿いに面した 一軒のホテルが目に留まった
車を止め 無条件にホテルへと入っていく
部屋は空いていた
その部屋を見せてもらうと 壁に大好きな
Raffaelo の
"Angeli " が飾ってあった
こうしてその夜 この街に滞在することが決まった
荷物を置き 美しい海岸沿いを散策しながら街の教会へと向かった
先ほどのパレードから随分時間が経っていたが
今夜 少なくともあの聖母像を見ておきたいと思ったからだった
そして かなりの距離を歩いた時だった
何処からか あの音楽が聞こえてくる
神様は待っていてくれたようだ
Moral street に行くと 人々の凄まじい熱気が漂っていた
体格のいいお母さんが 休むことなく列の最前でかけ声をかける
そして人々も叫ぶ
"Viva !! "
ゆっくりと音楽に合わせ 聖母像を担ぐ人々が教会へと向かう
お母さんが叫ぶように 再びかけ声をかける
そして 皆が叫ぶ
"Guapa Guapa y Guapa Guapa Guapa y Guapa !! "
人々から拍手が湧き上がる
そしてそれが何度も何度も繰り返される
〜
Eucaristia y Procesion con la Imagen de la Virgen 〜
4日間行われた祭りの 最大の見せ場であった
一行がパレードの最終地点である 教会までたどり着いたとき
人々の興奮は最高潮に達していた
教会の前の広場にて 大声援のなか 男達が聖母像を持ち上げる
そして180度回転し ゆっくりと教会へと進んでゆく
聖母は慎重に教会の中へ入り 準備が整うとその後に続いて人々も押し寄せていく
外にまで 人々の興奮は伝わってくる
完全に聖母像が安置されると 人々も教会から去り 教会の扉は静かに閉じらる
そして 人々は 幸せいっぱいの顔で家路へと向かっていく
〜
PM 11:00 〜
教会の周りが静けさに包まれた頃 街はすでに 普段の顔を取り戻していた
朝は 静かにやってきた
〜 ホテルのベランダから ゆっくりと昇る朝日を眺める 〜
この旅一番の 贅沢をしている時かもしれない
朝食を取り 海岸を歩いた
目の前には とても静かな海が広がっていた
ゆっくりと 街の中を散策した
そこには スペインのどこにでもある田舎街の風景が広がっていた
どこからも昨日の興奮を見ることはできない
きっと これが普段の姿なのだろう
結局 飛行機の時間ぎりぎりまで この街にいることにした
この街の空間の中に 出来るだけ長く身を沈めたくなったから
日本人 それどころかアジア人は誰一人としてこの街にはいないのかもしれない
街で出逢う人々は この街での自分の存在が不思議でしかたない様子だった
〜
AM 12:00 〜
ようやくお世話になったホテルの人々に別れを告げ
Málaga の空港へと向かった
〜
Málaga まで12km 〜
昨日の渋滞が嘘だったかのように 30分ほどで空港へとたどり着いた
車を返し 国際線ターミナルへと向かう
人はほどんど居なかった
〜 数時間後には イスラムの国 Maroc に居るのだ 〜
Catholic のお祭りの中にいた後だけあって そのことが全く実感出来ずにいた
〜
PM 4:30 〜
約30分遅れで19人乗りの小さな小さなプロペラ機はまだ見ぬ地
Casablanca へと飛び立った
モロッコ にたどり着いたとき どんな気持ちになっているのだろうか ?
小さくなってゆくスペインの大地を眼下に
ふとそんなことを考えていた