初めて訪れたこの場所で迎えてくれたのはどしゃぶりの雨だった
降りしきる雨の中、飛行機は Sitka 郊外の島
Japoniski Island に降り立った
はるか昔、日本人が漂流したことに由来し こう命名されたこの島で日本に関するものを探してみたが
あるものは英語としても使われている "TSUNAMI" という文字が刻まれた道路標識だけだった
ところで雨は一向に止む気配がない
あとで聞いた話だが、この辺りの天気はいつも雨らしい
この質問を投げかけると人々は笑いながらこう答えてくれた
"昨日も雨、 一昨日も雨、 ここ一週間ずっと雨、 そして今日も雨、
きっと明日も雨だし明後日も雨でしょう 天気予報なんて必要ない"
Sitka の街は歩いて数時間で全てを見れそうなほど小さく
どこにでもありそうな何もない街だった
いや、これから行く一カ所は少し違っていた

街の中心部を通り過ぎ、街の外れにある国立公園に向かった
国立公園と呼ぶにはあまりにも小さいところであったが幾つかの Totem Pole が静かに森の中でその巨体を休めていた
本来の意味合いとは全く違った形でこの場所にあるにもかかわらず
彼らはこの森の一部となって存在していた
そしてその姿は まるでもうそこが本来の住処であるかのようにも思えた
公園を出て日本出発の直前に予約を入れておいた宿へ向かうことにした
ダウンタウンから歩いて約30分ほどの場所にあるこの宿に向かう途中、地元のスーパーマーケットに立ち寄る
不思議なことにこの店の中の一角を占めているのは、
前日までいた遙か海の向こうの島国でいつも目にしているものばかりであった
全く想像もしていなかったこの風景に非常に驚いたのだが
これは日本人向けという訳ではなく地元の人々が普通に手にするものらしい
確かに宿についた時 地元から来たというお客さんがおいしそうに日本製のカップ麺を食べていた
たどり着いたこの宿では多くの優しさに触れることが出来た
よくここに来るという地元のお兄さん
Sitkaの街を出るには飛行機以外なら3日に1便しかないフェリーに乗らないといけないことを教えてくれた
そして次の日のフェリーでこの街を出ると告げるとすぐさま何も言わずシャトルバスの
手配とフェリーの予約を取ってくれた
その後も何か困ったことはない?と何度も声を掛けてくれた
たまたま一緒になった日本人のお父さん
定年退職後日本を出てアメリカから南米アルゼンチンへの旅の途中だという彼は
次の日朝起きると何も言わずに自分のために朝食を作ってくれていた
教会の建物の中にあるこの宿で本当に多くの出来事があり 旅の一日目は幸せな気持ちで終えることができた
次の日の早朝、ここを出てフェリーターミナル行きのバスに揺られながら地元の人と話していたとき ふと思った
"この街は見た目は何処にでもある小さな街だが 出逢う人は本当に素晴らしい人ばかりだ" と
このことはこの先旅を進めていく途中でも再認識をすることとなる