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王妃の愛した村 〜
その村は 寂しくも本当に愛おしく思えるほどに美しかった
訪れたのは雨の日だった
国鉄の駅から約20分 目の前に広がるその丘の上に彼の地はあった
坂を上り 道端に現れた門をくぐり
そしてまた 坂を上る
辿り着いた先にあったのは 紛れもなく 美しい花々に包まれた村の中心部だった
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城壁と花々に見守られた 小さな小さな村 Óbidos 〜

晴れた日はもっと美しいのかもしれない
でも そうなったときは逆に雨の日のことを思うにちがいない
心に多くのメッセージを抱きながら 村の中を歩き続けた
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スペインで見た 白い村の風景 "
"ポルトガルで見る 白い村の風景 "
同じ白い村のはずなのに どうしてここまで印象が違うのだろうか
いつの間にか 雲間から見えた太陽は姿を消していた
この村を訪れてから 随分と時間が過ぎたように思える
しかし 今日もこの場所では 人々を抱きながら静かにトキが流れているのだろう