イエメンに辿り着いたその日 偶然空港で出逢った同い年の青年と
San'a 郊外の村を訪れた
〜 Wadi Dahar 〜
ガイドブックに載っているような場所で唯一許可書なしで行けるの村
San'a の街中でタクシーを貸し切り 2人この村へと向かった
街の中心部から30分ほど走ると 都会の街並みは遙か遠くへと過ぎ去り
いつしかその光景は 果てしなく続く大地の模様へと変わっていた
目的地はもうすぐなのだろう
途中 ドライバーは村を見渡す丘へと我々を連れて行った
車を止め 少し坂を上り丘の端まで歩く
そこからの眺めは まさにグランドキャニオンを思わせるほどの迫力があった
〜
乾いた空気 何処までも果てしなく続く大地 − 岩肌 − 〜
違うところと言えば眼下の谷底がガートの木々で埋め尽くされ その中に村が立ち並んでいるくらいだった
その場所こそ
Wadi Dahar だった
しばらくその光景を バランスを崩せば一直線に谷底へ落ちてしまうような岩の端から眺めていた
するとどうだろう 遠くから一人の少年がかわいい鳥と共にこちらへやって来た
通常なら鳥と一緒に写真を撮って チップを渡してさようならか
もしくはハナっから無視するか 彼の存在にただ困惑するといったところだろう
しかし 結果として僕たちはそのどれでもなく ただ子供とお喋りを楽しんでいた
少年の名前は聞き忘れた でもその鳥の名前は
"Adam" だと教えてくれた
丘の遙か下にある
Wadi Dahar の村から毎日歩いてやってくるらしい
彼は
Adam が 可愛くて可愛くて仕方ない様子だった
本当に嬉しそうにそのことを話す少年の顔を見ていると こちらまで幸せな気分になってくる
やはり 子供は笑顔が似合う
我々はドライバーに呼ばれ たくましくもある少年の顔を見送り 谷底の村へと向かった
本当に目的地はもうすぐだ
谷を下り でこぼこの砂利道をゆっくりとタクシーで進む
しばらく走ると 目の前に目的としていたものが飛び込んできた
〜
Rock Palace 〜
英語の表記上では そう呼ばれる古き建物である
下まで行き見上げたその建築物から この国の歴史を凝縮させたような重みを感じた
門番に料金を払い中に入る
当然のように我がドライバーもガイドとして中に進んでいく
随分と手慣れた様子である
中は一体どれだけの部屋があるのだろう
階段を昇り 幾重もの部屋を巡り 再び階段を昇る
かつてイエメンの支配者
Iman Yahya の別荘というだけあって その広大さは想像を絶するものであった
展示された家財の数々も美しい
また 建物内部の凄さもさることながら 窓から見える景色は心を和ませた
窓から目線を建物の下に向けると 子供達が走り回る様子が見え 遠く人々の話し声も聞こえてくる
まさに 上空から人々の生活の模様を眺めているようだ
窓から目線を前方に向けると 青々と繁るガートの木々に囲まれた家々が見える
ガートの木々 ...
国によってはその葉が覚醒作用により麻薬扱いとなるという
その栽培のために目の前を埋め尽くすこの光景が 今後何とも複雑な思いを起こさせることとなる
San'a の市街地への帰り道 我々の乗る車に
そしてドライバーと我々の間にちょっとしたトラブルがあった
そのことにより 貴重な経験や少し悲しい思いもしたが
このほんの少しの小旅行が 今回の旅においてかけがえのないもののように思える
そう まさに今 ここ
Yemen における旅が始まった